可愛さと男性らしさの境目を描く|Live2Dモデル制作を手がけるYUIさんインタビュー

インタビュー

イラストレーターとして、キャラクターデザインからLive2D用立ち絵、Live2Dモデリングまで一貫した制作を手がけるYUIさん。

なかでも力を入れているのが、中性的な男性キャラクターのデザインとLive2Dモデル制作です。

「可愛いけれど、ちゃんと男性だと伝わる」という絶妙なバランスを大切にしながら、活動者本人の声や性格、活動内容、世界観などを読み取り、その人らしさが伝わるキャラクターを形にしています。

今回は、中性的な男性キャラクターを描く際のこだわり、Live2Dを前提とした立ち絵制作、活動者の個性をデザインへ落とし込む方法、依頼時のすり合わせや制作環境などについて伺いました。

YUIさんのプロフィール

活動名: YUI
活動内容: キャラクターデザイン、Live2D用立ち絵、Live2Dモデリング、MV・SNS・グッズ用イラスト
得意な制作: 中性的な男性キャラクター、キャラクターデザイン、Live2Dモデル制作
使用ソフト: CLIP STUDIO PAINT、Live2D Cubism Editor
制作環境: iPad Pro、PC
X:活動を見る
作品ギャラリー:pixiv
公式サイト:ポートフォリオサイト
ポートフォリオ:Xfolio
ショップ:BOOTH

YUIさんの活動内容やプロフィール、依頼に関する情報をまとめて確認したい方は、プロフィールページをご覧ください。

キャラクターデザインからLive2Dモデリングまで一貫して手がける

――現在特に力を入れている仕事や制作について教えてください。

現在は、活動者様向けのキャラクターデザインからLive2D用の立ち絵制作、Live2Dモデリングまでを一貫して担当するお仕事に力を入れています。

なかでも特に注力しているのが、中性的な男性キャラクターのデザインとモデリングです。

可愛らしさと男性らしさが同居するキャラクターは、線一本、シルエットひとつで印象が変わってしまう繊細さがあり、そこを突き詰めていくのが自分にとって一番面白い領域だと感じています。

今後はこの分野を軸にした活動をより深めていきたいと考えています。

大人になって再び始めたイラストからLive2Dの世界へ

――イラストを描き始めたきっかけと、Live2Dへ活動を広げた経緯を教えてください。

イラストを描き始めたのは今から6年ほど前です。

それまではこれといった趣味がなかったのですが、子どもの頃はイラストを描くのが好きだったので、「大人になってまた趣味にできたらいいな」という気持ちからiPadを買って絵を描き始めました。

専門的に絵を学んだ経験はなく、独学で1枚ずつ作品を完成させながら少しずつ身につけてきた形です。

その後、VTuberという存在を知り、そこで「Live2Dという技術があるのか」と初めて知りました。

イラストとLive2Dモデリングの両方ができれば、お仕事の幅がぐっと広がるのではないかと考えたのが、Live2Dを始めた直接のきっかけです。

実際に手を動かしてみると、自分が描いた絵が動き出す感覚が面白く、そのまま今の活動につながっています。

デザインの楽しさを改めて感じた、推しキャラクターのオリジナル衣装

――これまでに制作した中で、自信作や特に思い入れのある作品を教えてください。

推しキャラクターにオリジナルの衣装をデザインした、全身のファンアートです。

既存のキャラクターに新しい衣装を着せるというのは、そのキャラクターらしさを壊さずに、まだ見たことのない一面を見せる作業でもあります。

デザインのアイデアを出す段階にとても時間をかけましたし、自分の中でも納得のいくものができました。

ありがたいことに反響も大きく、その後グッズにしてイベントで頒布させていただき、そちらも好評をいただけたのが嬉しかったです。

デザインを考えること自体が好きなのだと、あらためて実感できた作品でもありました。

「可愛いけれど、ちゃんと男性」が伝わる中性的な魅力

――YUIさんが考える「中性的な魅力」とは、どのようなものでしょうか。また、表現する際に意識していることを教えてください。

私の考える中性的な魅力は、「可愛いけれど、ちゃんと男性だと伝わる」というバランスの上にあるものです。

パッと見たときは、女性か男性かわからないくらい可愛らしい。でも、よく見ると確かに男性なのだとわかる要素がきちんと残っている。この二段構えの状態が一番魅力的だと感じています。

可愛さに寄せきってしまうと少女になってしまいますし、男性らしさを強調しすぎると中性的な雰囲気が消えてしまうので、その境目を探る作業がデザインの肝だと思っています。

具体的に一番意識しているのは、手と足です。

特に脚は、太ももが女性的に膨らんだ形にはならないよう気をつけていて、男性らしい脚のラインを残すようにしています。

顔立ちや衣装で可愛らしさを出しているぶん、身体のつくりの部分で「男性である」という情報を担保する、という考え方です。

デザインの方向性としては、中性的な美少年でありつつ、貴族的でクラシカルな雰囲気、そして知的でどこか少し影のある感じというあたりが、自分の好きな軸になっています。

YUIさんが手がけた中性的なキャラクターの立ち絵

YUIさんが手がけた中性的なキャラクターの立ち絵

活動内容や声、性格から「その人らしさ」を拾い上げる

――活動者様の個性をキャラクターデザインへ落とし込む際は、どのようにイメージを組み立てていますか。

ここは正直、その方ごとに毎回やり方が変わる部分です。

活動内容、お声、性格、考えていらっしゃる設定など、いただいた情報をひとつずつ読み解きながら、「この方らしさが一番伝わるのはどの要素だろう」と探していく感覚に近いです。

お声の印象がキャラクターの年齢感や表情に反映されることもあれば、活動のジャンルが世界観や衣装のモチーフに直結することもあります。

決まった手順があるというより、毎回いただいた材料を並べてみて、そこから拾い上げるものを選んでいる、というのが実際のところです。

YUIさんが手がけたキャラクターデザインの立ち絵

落ち着いた色の中に差し色を効かせ、線にも色をなじませる

――キャラクターの可愛さや美しさを引き立てるために、色や線で大切にしていることを教えてください。

色使いは今もずっと研究中で、毎回お手本にしたい作品を横に置きながら、試行錯誤を続けています。

そのうえで自分の傾向としてわかってきたのは、コントラストはわりとはっきりつけつつ、全体としてはあまり派手にしすぎない色使いが好きだということです。

基本のトーンは落ち着かせておいて、ところどころに彩度の高い色を効かせる。その差し色があることで、画面全体が締まって見えると感じています。

線の色については、線画を黒一色のままにせず、その部分の塗りに合わせて線の色も変えていきます。

これをやるかやらないかで、絵のなじみ方と柔らかさがかなり変わってくると思っています。

YUIさんが手がけたイラスト

YUIさんの線と塗りの雰囲気がよく分かる一枚絵

線画の段階から「動くこと」を考えるLive2D用立ち絵

――Live2Dを前提とした立ち絵では、一枚絵を描く場合と比べてどのような違いがありますか。

一枚絵との一番大きな違いは、私の場合、パーツ分けを独立した工程として後からやるのではなく、線画を描いている段階からすでに織り込んでいる点です。

線を引きながら「ここは後で分ける部分だ」と意識して、パーツ同士が重なるところは線画を長めに描いておく。

こうしておくと、動かしたときに隙間が出たり、下から想定外のものが見えたりするのを防げます。

完成したイラストを後から分解するのとは、そもそも描き方の順序が違ってくる部分です。

デザイン面では、髪や衣装の「揺れる部分」をどこに作るかを最初から考えます。動いたときに気持ちよく見える要素をあらかじめ仕込んでおくイメージです。

また、活動者様用のLive2Dモデル制作の場合は、配信で使う際はほとんど上半身しか映らないので、揺れものや装飾は顔の周りに多めに配置することも意識してデザインしています。

短い依頼文の中から「大切にしているもの」を読み取る

――Skebなど、事前の打ち合わせがないリクエスト形式で制作する際に意識していることを教えてください。

Skebなどのリクエスト形式での制作経験もあります。

事前の打ち合わせを重ねる通常のご依頼と違って、いただいた依頼文と資料だけを手がかりに、そこから自分でイメージを膨らませていくことになります。

制約があるぶん、こちらの解釈が入る余地も大きく、そこが面白さでもあると感じています。

短い文章の中にも「この方はここを大事にされているんだな」という部分が必ずあるので、そこを取りこぼさないようにすることを一番意識しています。

MV・SNS・グッズ、それぞれの用途に合わせて見せ方を変える

――MV用イラストやSNS用イラスト、キービジュアル、グッズなど、用途によって意識していることに違いはありますか。

歌ってみた動画などのMV用イラストは、基本的にクライアント様のご指示に沿って制作していきます。

複数枚のイラストをご依頼いただくこともありますし、イラストのパーツ分けまで含めてご依頼いただくこともあるので、そのあたりも対応しています。

SNS用イラストは、活動者様の場合、サムネイル用に16:9の横長サイズをご希望されることが多いです。

普段趣味で描くイラストとはサイズも見せ方も違うので、最初は少し慣れませんでしたが、今はサムネイルの中で映えるポーズを意識して構図を組むようにしています。

キービジュアルやグッズ用イラストは全身の構図になることが多いので、キャラクターに動きのあるポーズを意識します。

用途によってはこちらからご提案することもあり、例えばアクリルスタンドにされる場合は、イラストの外側に縁をつけると見栄えがよくなるので、そういった調整をサービスでさせていただくこともあります。

YUIさんが手がけたアクリルスタンドグッズ用のイラスト

YUIさんが手がけたMV用の髪の毛パーツ分け立ち絵

YUIさんが手がけたMV用の表情差分数種ありの素材

iPad ProとPCを使い分ける制作環境

――普段使用しているソフトや機材など、現在の制作環境を教えてください。

イラスト制作とパーツ分けは、すべてiPad Pro上でCLIP STUDIO PAINTを使って行っています。

Live2Dモデリングについては、PC版のLive2D Cubism Editorが必要になるため、そちらはパソコンで作業しています。

今のところ自分が配信をするわけではないので、そこまで高いスペックのマシンは必要なく、以前から使っている一般的なパソコンで問題なく動かせています。

最近はCLIP STUDIO PAINTの進化がすごくて、線を引いた後からその線を編集できる「スマートシェイプ」という機能が実装されたのですが、もうこれがないと生きていけない体になってしまいました。

線を何度も引き直さなくてよくなったので、Live2D用の立ち絵を描くうえでも本当に助かっています。

初めて依頼するときは「ざっくりした方向性」があれば大丈夫

――初めてキャラクターデザインやLive2Dモデルを依頼する方には、どのようなことを準備してもらえると進めやすいですか。

本当にざっくりで構わないので、次のあたりをイメージしておいていただけると進めやすいです。

  • どんなキャラクターで配信をしていきたいかという性格面
  • おおまかなメインカラー
  • 世界観や衣装の方向性
  • モチーフにしたいものや取り入れたい要素など

モチーフなどは特になくても大丈夫ですし、こちらからご提案するのも好きなので、決まっていないこと自体はまったく問題ありません。

ひとつだけお願いしたいのは、こちらから「髪の色は何色にしましょうか?」といった質問をさせていただいたときに、「お任せします」だけではなく、「○色か○色がいいです」くらいのご意見をいただけると、とても助かるということです。

実際にお会いしたことのない方のキャラクターを作らせていただくので、こちらだけで勝手に決めてしまうのは難しい部分もあります。

断定でなくて構いませんので、少しでもご自身の好みを教えていただけると、そこを起点にぐっと具体的に進められます。

条件を文面で明確にし、工程ごとにこまめにすり合わせる

――ご相談から納品までの流れと、認識のずれを防ぐために大切にしていることを教えてください。

まずご相談内容をうかがったうえで、お見積書と注意事項をお渡しし、内容にご同意いただいてから正式なご依頼という流れにしています。

金額や制作範囲、著作権・利用範囲といった条件を、着手前に文面としてはっきりさせておくためです。

制作中はDiscordやメールなどでやりとりし、やりとりの履歴が残る形で進めます。

工程の節目ごとにラフや進捗をご確認いただき、方向性がずれていないかをこまめにすり合わせます。

あとから大きく戻ることになるのはお互いにとって負担が大きいので、早い段階で確認する回数を増やすようにしています。

納期については、これまで遅れを出したことはありません。

スケジュールを組む段階で無理のない日程を引くこと、そして進捗を定期的にお伝えすることの2つを守っていれば、大きくずれ込むことはないと考えています。

「中性的な男性キャラクターのLive2Dモデルといえばこの人」を目指して

――今後挑戦したいことと、依頼を検討している方や作品を見ている読者へメッセージをお願いします。

今後は、中性的な男性キャラクターのLive2Dモデルといえばこの人、と思っていただけるような存在になることを目標にしています。

そのために、オリジナルキャラクターの制作や、既製品としてご購入いただけるLive2Dモデルの販売なども進めているところです。コンテストへの挑戦もしたいなと思っています!

キャラクターは、活動者様がこれから長く一緒に過ごしていく相棒のような存在だと思っています。

だからこそ、こちらが一方的に作るのではなく、ご一緒に作らせていただくものだと考えています。

まだイメージが固まっていない段階でのご相談も大歓迎ですので、「こんな感じがいいかも」くらいの温度感でお声がけいただけたら嬉しいです。

作品を見てくださっている皆さまにも、いつもありがとうございます。

これからも、自分が本当に良いと思えるものを一枚ずつ積み重ねていきますので、見ていただけたら幸いです。

YUIさんに依頼する方法

YUIさんは、活動者向けのキャラクターデザイン、Live2D用立ち絵、Live2Dモデリングをはじめ、MV用イラスト、SNS用イラスト、キービジュアル、グッズ用イラストなどを手がけています。

キャラクターデザインでは、まだイメージが完全に固まっていない段階から相談することも可能です。希望する性格やメインカラー、世界観、衣装、モチーフなど、決まっている範囲から伝えることで一緒に方向性を組み立てていきます。

作品や依頼に関する最新情報は、以下をご確認ください。

X:活動を見る
公式サイト:ポートフォリオサイト
ポートフォリオ:Xfolio
作品ギャラリー:pixiv
ショップ:BOOTH

絵師ナビ編集部より

VTuber向けの立ち絵やLive2Dモデルを依頼したい方は、キャラクターデザイン、パーツ分け、モデリングのうち、どこまで依頼したいのかを事前に確認しておくと相談しやすくなります。

VTuber立ち絵を絵師に依頼する方法
イラスト依頼で伝えること

依頼の受付状況や料金、納期、対応可能な制作内容などは変更される場合があります。最新情報は、YUIさん本人の案内をご確認ください。