LINEスタンプを作りたいけれど、「自分ではイラストを描けない」「好きなキャラクターを絵師に描いてもらいたい」という方もいるでしょう。
LINEスタンプ用のイラストは、イラストレーターへ依頼して制作してもらうことができます。
ただし、通常の一枚絵を依頼する場合とは少し違い、スタンプの個数やセリフ、LINE向けの画像仕様、販売利用の条件、納品後の申請まで考えておく必要があります。
特に、次の項目は相談前に整理しておくとスムーズです。
- 何個のスタンプを作るか
- キャラクターやセリフをどうするか
- どこまで絵師へ依頼するか
- LINEスタンプとして販売できる利用条件になっているか
- LINE Creators Marketへの申請を誰が行うか
この記事では、LINEスタンプのイラストを絵師へ依頼する準備から、料金の考え方、依頼文、制作中の確認、納品後の申請まで順番に解説します。
LINEスタンプを絵師に依頼して販売するまでの流れ
LINEスタンプを絵師へ依頼する場合、大まかな流れは次のようになります。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1 | 作りたいスタンプの内容・個数を決める |
| 2 | 対応できる絵師を探して相談・見積もりを取る |
| 3 | ラフや清書を確認しながら制作してもらう |
| 4 | 納品データと利用条件を確認する |
| 5 | LINE Creators Marketへ登録・審査申請する |
依頼する絵師によっては、イラスト制作だけでなく、文字入れやLINE向けのデータ調整などまで対応している場合があります。
一方で、イラストを依頼すればLINEへの申請まで自動的に行ってもらえるわけではありません。
どこまで依頼できるかは絵師によって異なるため、相談時に確認しておきましょう。
LINEスタンプを依頼する前に決めておきたいこと
スタンプを何個作るか決める
LINE Creators Marketの通常スタンプでは、スタンプ画像の個数を8個・16個・24個・32個・40個から選びます。審査をリクエストした後は個数を変更できません。
個数が増えるほど、必要なイラストやセリフも増えるため、制作費にも影響しやすくなります。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| まず少ない数で作りたい | 8個から検討 |
| 日常会話である程度使い分けたい | 16~24個を検討 |
| 表情やセリフを幅広く入れたい | 32~40個を検討 |
上の表はLINE公式が推奨する個数ではなく、依頼内容を整理するための目安です。
「ありがとう」「おはよう」「了解」など、実際に使いたいセリフを書き出してみると、必要な個数を決めやすくなります。
最新の仕様は、LINE Creators Marketのスタンプ制作ガイドラインも確認してください。
セリフ・表情・ポーズを考える
スタンプは一枚ずつ用途が違います。
たとえば、次のような場面から考える方法があります。
- おはよう
- ありがとう
- おつかれさま
- OK
- ごめん
- うれしい
- 怒る
- 泣く
すべてを自分で細かく決める必要はありません。絵師によっては、キャラクターの設定や用途を聞いたうえで、表情やポーズを一緒に考えてくれる場合もあります。
ただし、どこまで提案してもらえるかは依頼先によって異なるため、見積もり前に確認してください。
キャラクター資料を準備する
すでにオリジナルキャラクターがいる場合は、資料を用意しておきましょう。
正面のイラストだけでなく、次のような情報があると認識を合わせやすくなります。
- 髪型
- 服装
- 配色
- アクセサリー
- 目の色
- 特に残したい特徴
デフォルメされたスタンプでは、細かな特徴をすべて同じように描き込めるとは限りません。そのため、「ここだけは省略しないでほしい」という特徴を先に伝えることも大切です。
絵師ナビでインタビューしたサラスナさんも、デフォルメ制作では、キャラクターの特徴や特に残したいチャームポイントがある場合は事前に伝えてもらえると助かると回答しています。
依頼資料のまとめ方に迷った場合は、イラスト依頼の資料の作り方も参考にしてください。
絵師と依頼者の担当範囲を確認する
LINEスタンプ制作には、イラスト以外にも複数の作業があります。
| 作業 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| イラスト制作 | 絵師へ依頼 |
| キャラクターデザイン | 必要なら別途相談 |
| セリフ決定 | 依頼者側で用意するか相談 |
| 文字入れ | 料金に含まれるか確認 |
| LINE向け画像調整 | 対応可否を確認 |
| Creators Market登録 | 誰が行うか確認 |
| 審査後の修正 | どこまで対応してもらえるか確認 |
特に注意したいのが、審査で修正が必要になった場合の対応です。
納品後の修正が追加料金になることもあるため、「LINEの審査で画像修正が必要になった場合は対応可能か」を依頼前に確認しておくと安心です。
また、Creators Marketへの登録や申請まで依頼できる場合でも、誰のCreators Marketアカウントで登録・販売するのかは事前に確認しておきましょう。イラスト制作を担当する人と、実際にスタンプを登録・販売する人が同じとは限りません。
LINEスタンプに必要な画像・サイズ
通常スタンプでは、スタンプ本体だけでなく、メイン画像とトークルームタブ画像も必要です。
| 画像 | 必要数 | サイズ |
|---|---|---|
| メイン画像 | 1個 | 240×240px |
| スタンプ画像 | 8・16・24・32・40個 | 最大370×320px |
| トークルームタブ画像 | 1個 | 96×74px |
LINE公式の制作ガイドラインでは、通常スタンプについてPNG、72dpi以上、RGB、背景透過などの条件が案内されています。画像サイズは偶数にする必要があり、スタンプ画像では画像の外枠とコンテンツの間に10px程度の余白を設けることも推奨されています。
依頼時には、単に「LINEスタンプを作りたい」と伝えるだけでなく、「LINE Creators Marketへ登録する通常スタンプ用として使用したい」と明確に伝えた方が、必要なデータを相談しやすくなります。
画像サイズや解像度、納品形式の基本については、イラスト依頼のサイズ・解像度・納品形式でも詳しく解説しています。
なお、アニメーションスタンプやBIGスタンプ、メッセージスタンプなどは通常スタンプとは仕様が異なります。最新情報はLINE Creators Market公式ガイドラインを確認してください。
LINEスタンプのイラスト制作料金は何で変わる?
LINEスタンプ制作の料金は、依頼先や制作条件によって大きく異なります。公開されている出品例を見ても、同じ8個のスタンプ制作で数千円台から1万円台後半まで幅があります。
ただし、これはLINEスタンプ制作全体の「相場」を示すものではありません。キャラクターデザイン、文字入れ、修正回数、LINE用データ調整など、料金に含まれる作業が異なるためです。
そのため、料金の安さだけで比較するのではなく、何が料金に含まれているかを確認することが重要です。
スタンプの個数
8個と40個では必要なイラスト数が大きく違います。
「1個あたり○円」という料金設定もあれば、「8個セット」「16個セット」のような料金設定もあります。
そのため、単価だけでなく、希望する個数で最終的にいくらになるのかを見積もりで確認しましょう。
キャラクターデザインの有無
すでに完成したキャラクター資料がある場合と、キャラクターデザインから依頼する場合では作業量が異なります。
キャラクターデザインが必要な場合は、スタンプ制作料金とは別料金になる可能性があります。
文字入れの有無
LINEスタンプでは、イラストだけでなくセリフの文字を画像内に配置する場合があります。
文字入れが基本料金に含まれるか、追加料金になるかは依頼先によって異なります。
修正回数
8個以上のスタンプをまとめて制作する場合、修正範囲が広くなることもあります。
ラフ段階で何回まで修正できるのか、清書後の修正が可能なのかを確認しましょう。
LINE用データ調整・申請対応
絵師が完成イラストを納品するだけのケースもあれば、LINE用のサイズ調整や申請向けデータ作成まで対応するケースもあります。
見積もりを比べる際は、「イラスト何個でいくらか」ではなく、「どこまで含まれた料金か」で比較するのが重要です。
イラスト依頼全般の料金については、イラスト依頼の相場はいくら?用途別の料金目安と費用が変わる理由も参考にしてください。
LINEスタンプを依頼する絵師の探し方・選び方
LINEスタンプを依頼する場合、一般的なイラストの上手さだけでなく、小さいサイズでキャラクターの表情や意味が伝わるかも確認したいポイントです。
スタンプ・SD・デフォルメ制作の実績を見る
スタンプ制作の経験があれば参考になりますが、必須ではありません。
SDキャラやミニキャラなど、限られたサイズの中で表情やポーズを分かりやすく見せる作品を得意としている絵師も候補になります。
SD・ミニキャラの依頼については、SDキャラ・ミニキャラを依頼する方法も参考になります。
小さい表示でも見やすいか確認する
細かな描き込みが魅力的なイラストでも、スタンプサイズになると情報が見えにくくなる場合があります。
絵師ナビでインタビューしたサラスナさんは、スタンプ・バッジ制作について、小さなサイズで表示されるからこそ、限られた大きさの中でも可愛らしさや視認性を表現する工夫が必要だと話しています。
また、SDイラストでは、感情や個性が一目で伝わるよう、表情やポーズをより大胆で分かりやすくすることを意識していると回答しています。
LINE公式も、日常会話やコミュニケーションで使いやすく、表情・メッセージ・イラストが分かりやすいスタンプを推奨しています。
依頼条件まで確認する
候補を見つけたら、絵柄だけではなく、次の条件も確認しましょう。
- 料金
- 納期
- 修正回数
- 商用・販売利用
- 納品形式
- 文字入れ
- LINE用データ調整
- 審査後の修正対応
比較するときのポイントは、絵師の選び方|依頼で失敗しない比較ポイントでも詳しく解説しています。
LINEスタンプを依頼するときに伝える内容
初回相談では、最低限次の情報をまとめておくとスムーズです。
- LINEスタンプとして販売予定であること
- キャラクター資料
- 希望する個数
- セリフ
- 表情・ポーズ
- 希望納期
- 予算
- 希望する納品形式
- 文字入れの希望
- LINE向けデータ調整の希望
- 申請を自分で行うか
- 利用条件について確認したいこと
すべてが決まっていなくても構いません。分からない項目は、「ここは相談したい」と伝えましょう。
絵師ナビでインタビューしたアトリモコさんも、制作前にヒアリング用の資料やテンプレートを使い、依頼者のイメージを具体化してから制作へ進めていると回答しています。
LINEスタンプでも、最初に情報を整理しておくことで、複数枚を制作する途中で認識がずれるリスクを減らしやすくなります。
アトリモコさんの制作や依頼者とのやり取りについては、アトリモコさんのインタビューでも紹介しています。
LINEスタンプを依頼するときの例文
個人の絵師へLINEスタンプ制作を相談するときは、次のように必要事項をまとめると伝わりやすくなります。
はじめまして。
LINE Creators Marketで販売するLINEスタンプ用イラストの制作について、ご相談したくご連絡いたしました。【使用目的】
LINEスタンプとして販売予定【キャラクター】
オリジナルキャラクター1名
資料:○○【希望個数】
16個【内容】
「ありがとう」「おはよう」「了解」など、日常会話で使うセリフを予定しています。【希望内容】
イラスト制作・文字入れまでお願いしたいです。LINE向けのサイズ調整についても対応可能か教えていただけますと幸いです。【納期】
○月頃を希望しています。【予算】
○円前後を考えています。LINEスタンプとして販売する用途での利用が可能か、あわせてご確認いただけますでしょうか。
お見積もりや対応可能な範囲をご教示いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
相手に指定の依頼テンプレートがある場合は、そちらを優先してください。
初回DMそのものの書き方については、絵師に依頼するDMの送り方も参考にしてください。
制作中に確認しておきたいポイント
複数枚のスタンプを制作するときは、完成後にまとめて確認するより、工程ごとに確認した方が認識違いを見つけやすくなります。
ラフでは表情・ポーズ・雰囲気を見る
ラフの段階では、次の項目を中心に確認します。
- 表情
- ポーズ
- キャラクターらしさ
- セリフとの一致
- 全体の雰囲気
サラスナさんも、実際の制作ではラフ段階で表情・ポーズ・全体の雰囲気を確認してもらうと回答しています。
清書では文字・配色・細部を見る
清書後は、次の点を確認します。
- 文字の誤り
- 色
- 細かな装飾
- 表情の違い
- キャラクターの特徴
LINEの審査ガイドラインでは、スタンプ内のテキストに誤りがあるものも問題となる可能性があります。
セリフの誤字脱字は、依頼者側でも一枚ずつ確認しましょう。
修正回数や追加料金については、依頼前に条件を確認しておくことも重要です。
納品後にLINE Creators Marketへ申請する
イラストが完成したら、LINE Creators Marketで販売のための登録・審査を行います。
依頼者自身が販売者になる場合は、完成イラストを受け取っただけで終了ではありません。
画像とあわせて、クリエイター名、スタンプタイトル、説明文、Copyright表記などの情報も登録します。
登録後は審査をリクエストし、審査を通過したスタンプを販売する流れです。
最新の登録方法や審査基準は、LINE Creators Market公式サイトで確認してください。
審査で差し戻された場合
審査では、画像フォーマットだけでなく、視認性、テキスト、内容、権利関係なども確認されます。
詳しい基準は、LINE Creators Marketの審査ガイドラインで公開されています。
修正が必要になった場合に備えて、依頼前に絵師へ、「LINEの審査で画像修正が必要になった場合、追加対応は可能ですか?」と確認しておくとよいでしょう。
LINEスタンプとして販売する前に権利を確認する
ここは特に重要です。
お金を払ってイラストを依頼したからといって、その画像をどの用途にも自由に使えるとは限りません。
イラスト依頼では、著作権そのものの譲渡と、特定用途への利用許可は別に考える必要があります。
LINEスタンプとして販売するのであれば、依頼時に、「LINE Creators Marketへ登録し、有料スタンプとして販売する予定です」と伝え、その用途で利用できる条件になっているか確認しましょう。
一方で、LINEスタンプ販売のために必ず著作権を譲渡してもらう必要がある、と一律には言えません。
大切なのは、依頼者がLINEスタンプとして登録・販売できるだけでなく、LINE Creators Marketの利用規約上必要となる範囲で、LINEヤフーへ作品の利用を許諾できる条件になっているかを、あらかじめ絵師と確認しておくことです。
LINE Creators Marketの利用規約では、登録者がLINEヤフーに対して、作品の複製・翻訳・翻案・改変・公衆送信や、それらの権利の第三者への再許諾を含む利用権を許諾することが定められています。第三者が権利を持つ作品を登録する場合には、規約上必要となる権利処理についても確認が必要です。
そのため、絵師へ依頼する際は「LINEスタンプとして販売したい」と伝えるだけでなく、Creators Marketへの登録に必要な利用について問題がないかも確認しておくと安心です。
最新の条件は、LINE Creators Market利用規約を確認してください。
また、LINEの審査ガイドラインでも、第三者の著作権などを侵害するものや、必要な権利を確認できないものは審査で問題になる可能性があります。
特に、次のようなものを使う場合は注意が必要です。
- 他人のキャラクター
- 二次創作
- 芸能人など実在人物を題材にしたもの
- 他社のロゴ
- 利用条件のある素材
イラスト依頼における著作権・商用利用・二次利用の違いについては、イラスト依頼の著作権は誰のもの?で詳しく解説しています。
LINEスタンプを依頼する前のチェックリスト
絵師へ相談する前に、次の項目を確認してみてください。
- スタンプの個数を決めた
- セリフ候補を用意した
- 表情・ポーズの希望を整理した
- キャラクター資料を用意した
- 残してほしい特徴を整理した
- 予算を決めた
- 希望納期を決めた
- LINEスタンプとして販売することを伝える
- 文字入れを誰が行うか確認する
- LINE向けデータ調整の担当を確認する
- Creators Marketへの登録・申請担当を確認する
- 誰のCreators Marketアカウントで販売するか確認する
- 審査後の修正対応について確認する
- 販売利用の条件を確認する
- 納品形式を確認する
- 修正回数を確認する
最初からすべてを完璧に決める必要はありません。
分からない項目があれば、決まっている部分を整理したうえで、絵師へ相談しましょう。
まとめ|LINEスタンプは制作後の申請まで考えて依頼しよう
LINEスタンプのイラストは、イラストレーターへ依頼して制作してもらうことができます。
ただし、一枚絵の依頼とは違い、複数のスタンプ画像に加えて、LINE向けの仕様や販売利用、納品後の審査まで考える必要があります。
依頼前には、個数・セリフ・キャラクター資料・予算・納期・販売利用・申請担当を整理しておきましょう。
そのうえで、スタンプやSD・デフォルメ制作と相性の良い絵師を探し、どこまで対応してもらえるかを確認してから依頼すると進めやすくなります。


