イラストを依頼するとき、「何pxで頼めばいい?」「350dpiにした方がいい?」「PNGとJPEG、PSDのどれをお願いすればいい?」と迷う方もいるでしょう。
結論からいうと、サイズ・解像度・納品形式は、イラストを使う場所の仕様から逆算して決めるのが基本です。
SNSや動画であればサービス側の推奨サイズや縦横比、印刷物であれば印刷会社の入稿仕様を先に確認します。
ただし、依頼者自身がpx・dpi・カラーモードなどをすべて判断する必要はありません。
① どこで使うか
② 完成画像として使うのか、編集用素材として使うのか
③ 使用先が指定しているサイズ・形式は何か
仕様が分からない場合は、使用目的と使用先を絵師へ伝え、「対応可能なサイズ・形式を相談したい」と伝える方法もあります。
この記事では、用途別のサイズ・形式の考え方、px・ppi・dpi、RGB・CMYK、PNG・JPEG・PSD、背景透過、レイヤー分け、納品時の確認ポイントまで順番に解説します。
サイズ以外も含めて依頼時に伝える内容を整理したい方は、「イラスト依頼で伝えること12項目」も参考にしてください。
- まず確認|イラストのサイズ・形式は「使う場所」から決める
- 用途別|サイズ・納品形式の早見表【2026年8月確認】
- 公式の「アップロードサイズ」と「絵師へ頼む制作サイズ」は同じとは限らない
- Web・SNS・動画では「px」と「縦横比」をまず確認する
- 完成画像を頼むのか「編集素材」を頼むのかでも仕様が変わる
- 印刷する場合は「完成サイズ+解像度+入稿仕様」を確認する
- px・ppi・dpiの違いを初心者向けに整理
- RGBとCMYKはどちらを頼めばいい?
- PNG・JPEG・PSDはどう選ぶ?
- 背景透過が必要なのはどんなとき?
- 用途別|絵師へどう伝える?
- サイズや形式が分からなくても、用途を伝えれば相談できる
- 「とりあえず最大サイズ・PSD」で頼まなくていい
- 納品されたら確認したい7項目
- イラスト依頼のサイズ・解像度・納品形式に関するよくある質問
- まとめ|「用途→公式仕様→依頼内容」の順で決めよう
まず確認|イラストのサイズ・形式は「使う場所」から決める
イラスト依頼で最初に決めるのは、dpiやPSDではありません。
「このイラストを最終的にどこで、どのように使うのか」を決めます。
例えば、同じキャラクターイラストでも、
- Xのプロフィール画像として使う
- YouTubeのサムネイル全体として使う
- 動画編集用の人物素材として使う
- Twitchのエモートとして使う
- 同人誌の表紙として印刷する
では必要な仕様が変わります。
まず使用先の公式情報や入稿先の仕様を確認し、そのうえで絵師に制作可能なサイズ・形式を相談しましょう。
用途別|サイズ・納品形式の早見表【2026年8月確認】
主要サービスの公式案内をもとに、依頼時に確認しやすい仕様をまとめます。
※以下は2026年8月22日時点で確認した仕様です。サービス側で変更される場合があるため、実際に依頼・使用する際は最新の公式情報も確認してください。
| 用途 | 公式仕様の例 | 依頼時に意識すること |
|---|---|---|
| Xプロフィール画像 | 400×400px推奨 | 正方形で作り、円形表示でも顔や重要部分が切れないようにする |
| YouTube通常動画のサムネイル | 3840×2160px推奨・16:9 | 完成サムネイルを依頼するのか、人物素材だけを依頼するのか決める |
| Twitch標準エモート | 正方形PNG。自動リサイズは112×112〜4096×4096pxの1枚、手動は28・56・112px | 背景透過。小さく表示したときの見やすさも確認する |
| Discordカスタム絵文字 | 最大128×128pxでアップロード可能、32×32pxへリサイズ。256KB未満 | 32px程度でも表情や形が分かるデザインにする |
| Discordステッカー | 320×320px。静止画PNG・アニメーションAPNG。最大512KB | 透過や余白も含めて完成状態を確認する |
| 印刷物・同人誌 | 印刷会社・商品ごとに異なる | 完成サイズ、塗り足し、解像度、色、入稿形式を先に確認する |
X公式ではプロフィール画像を400×400px推奨、JPEG・GIF・PNG対応、最大2MBと案内しています。X公式の画像仕様を確認する
YouTubeでは通常動画のカスタムサムネイルについて、3840×2160px、16:9を推奨しています。YouTube公式のサムネイル仕様を確認する
Twitchの標準エモートは、正方形PNG、背景透過が基本です。Twitch公式のエモート仕様を確認する
Discordではカスタム絵文字とステッカーで必要なサイズ・形式が異なります。Discord公式のカスタム絵文字案内も確認してください。
公式の「アップロードサイズ」と「絵師へ頼む制作サイズ」は同じとは限らない
ここは特に注意したいポイントです。
サービス側が「400×400px推奨」と案内していても、必ず絵師へ400×400pxちょうどで描いてもらわなければならないわけではありません。
制作時には、より大きなキャンバスで描き、最後に使用先へ合わせて縮小する場合もあります。
そのため依頼時は、
Xのプロフィール画像として使用します。Xでは400×400pxが推奨されていますが、制作・納品しやすいサイズがあればご相談したいです。
のように、最終用途と公式仕様を伝えたうえで、実際の制作サイズを相談する方法があります。
Web・SNS・動画では「px」と「縦横比」をまず確認する
Web上で使用するイラストでは、まず画像の縦横サイズをピクセル(px)で確認します。
例えば、
- 400×400px
- 3840×2160px
- 128×128px
といった表記です。
ピクセルはデジタル画像を構成する小さな点です。
もともと小さい画像を後から大きく引き伸ばすと、輪郭がぼやけたり粗さが目立ったりする場合があります。
縦横比も重要
ピクセル数だけでなく、画像の縦と横の比率も確認します。
例えば、
- 1:1=正方形
- 16:9=横長
- 9:16=縦長
などです。
同じ2000px程度の画像でも、正方形と16:9では構図が大きく異なります。
YouTube動画用、SNSアイコン、スマートフォン向け縦動画など、使用場所に合わせて縦横比を先に決めましょう。
完成画像を頼むのか「編集素材」を頼むのかでも仕様が変わる
同じYouTube用イラストでも、依頼内容によって必要な納品形式が異なります。
完成したサムネイル全体を依頼する場合
16:9の完成画像として制作してもらい、文字や背景まで含めて納品してもらう方法があります。
人物イラストだけを依頼する場合
動画制作者や依頼者自身が後から背景や文字と合成するなら、人物だけの背景透過PNGなどが必要になる場合があります。
つまり、単に「YouTube用です」と伝えるだけではなく、
YouTube動画のサムネイルに使用します。人物イラストのみ制作いただき、背景と文字は後から別途編集する予定です。
のように、後工程まで伝えると必要な形式を判断しやすくなります。
歌ってみた動画向けの素材については、「歌ってみたイラストを依頼する方法」も参考にしてください。
印刷する場合は「完成サイズ+解像度+入稿仕様」を確認する
印刷物では、Web用とは違い、ピクセル数だけではなく実際に印刷する大きさも重要です。
まず、
- A4・A5などの完成サイズ
- 縦・横
- 塗り足し
- 必要な画像解像度
- カラーモード
- 入稿形式
- 印刷会社のテンプレート
を確認します。
印刷会社によって仕様が異なるため、先に利用予定の印刷会社や商品を決め、その入稿仕様を絵師へ共有する方法が確実です。
A5サイズの同人誌表紙として使用予定です。印刷会社の入稿テンプレートと仕様を共有しますので、対応可能なサイズ・解像度・カラーモードをご相談できますでしょうか。
のように伝えられます。
px・ppi・dpiの違いを初心者向けに整理
サイズや解像度を調べると、「px」「ppi」「dpi」という言葉が出てきます。
まずは次のように考えれば十分です。
| 用語 | 意味 | 依頼時の考え方 |
|---|---|---|
| px | 画像の縦横を構成するピクセル数 | Web・SNS・動画では特に重要 |
| ppi | 1インチ当たりのピクセル数 | 画像を実寸で扱うときの密度 |
| dpi | 本来は1インチ当たりの印刷ドット数 | 制作ソフトや印刷案内では画像解像度の意味で使われることもある |
重要なのは、縦横のピクセル数と解像度は同じものではないということです。
例えば同じ3000×3000pxの画像でも、小さく印刷する場合と大きく印刷する場合では、1インチ当たりに使えるピクセル数が変わります。
Web用なら「72dpi」にしないといけない?
Web表示では、まず縦横のピクセル数や縦横比が重要です。
「Webだから必ず72dpi」と固定的に考える必要はありません。
使用するWebサービスが指定しているpxやファイル容量、形式を優先して確認しましょう。
印刷なら必ず350dpi?
印刷物でも、必要な解像度は印刷方法や商品によって異なります。
「印刷なら必ず350dpi」と決めるのではなく、利用予定の印刷会社が案内している数値を確認してください。
RGBとCMYKはどちらを頼めばいい?
RGBとCMYKは、色を表現する方法です。
一般に、
- RGB:ディスプレイ上で表示する画像
- CMYK:印刷工程で使われることがある色表現
として使われます。
ただし、印刷物だから必ず依頼時点でCMYKにしなければならないわけではありません。
印刷会社によってはRGBデータでの入稿に対応している場合もあります。
印刷する場合は、
- 印刷会社の入稿仕様を確認する
- RGB・CMYKのどちらが必要か確認する
- 変換が必要なら誰が行うか確認する
という順番で判断しましょう。
RGBからCMYKへ変換すると、色によっては画面上と印刷後の見え方が変わることもあります。
PNG・JPEG・PSDはどう選ぶ?
ファイル形式は「どれが一番高品質か」ではなく、何に使うかで選びます。
| 形式 | 特徴 | 向いている例 |
|---|---|---|
| PNG | 背景透過に対応。画質を保ちやすい | 立ち絵、アイコン、動画素材、Web素材 |
| JPEG | 背景透過には非対応。一般的な画像として扱いやすい | 背景込みの一枚絵、Web掲載画像など |
| PSD | レイヤー情報を保持できる | 後工程でレイヤーを使う制作、動画・デザイン作業など |
背景を透明にしたいならPNG
人物だけを動画や配信画面へ重ねたい場合など、背景を透明にする必要があるなら、一般的には透過PNGを相談します。
ただし、PNG形式だから必ず背景が透明というわけではありません。
依頼時に、
背景透過PNGでの納品を希望しています。
と明記しましょう。
完成画像として使うならPNGまたはJPEG
背景込みの完成イラストをそのままWebへ掲載する場合などは、PNGまたはJPEGが使われることがあります。
どちらが適しているかは、使用先の対応形式やファイル容量などを踏まえて決めます。
PSDは必要な理由がある場合に相談する
PSDを受け取れば便利そうだからと、「とりあえずPSDもください」と依頼する必要はありません。
PSDや細かなレイヤー分けは、通常の完成画像とは異なる制作データとして扱われる場合があります。
例えば、
- 動画制作者がパーツを編集する
- 差分を後から切り替える
- デザイナーが背景や文字を調整する
- 制作チームで後工程の編集を行う
など、必要な理由がある場合に相談します。
レイヤー分けの内容やPSD納品には追加料金が発生する場合もあるため、見積もり前に確認しておきましょう。
背景透過が必要なのはどんなとき?
背景透過とは、人物などの周囲が透明になっている状態です。
例えば、
- TRPGやゲームの立ち絵
- 配信画面へ重ねる人物素材
- 動画編集用素材
- サムネイルへ後から合成するイラスト
- Webデザイン素材
- 一部のグッズ用素材
などで使われます。
一方、一枚絵の背景まで含めて完成作品として使う場合は、背景透過が不要なこともあります。
透過PNGが必要かどうかは、「後から別の背景へ重ねるか」で考えると分かりやすくなります。
用途別|絵師へどう伝える?
Xプロフィール画像の場合
Xのプロフィール画像として使用します。正方形で、円形表示になっても顔や重要な部分が切れにくい構図を希望しています。X公式では400×400pxが推奨されていますが、制作・納品サイズは対応しやすい仕様をご相談したいです。
SNSアイコンの依頼全体については、「SNSアイコンのイラスト依頼完全ガイド」も参考にしてください。
YouTubeサムネイル全体を依頼する場合
YouTube通常動画のサムネイルとして使用します。16:9で、右側にタイトル文字を入れるため、人物は左側へ配置したいです。YouTube公式では3840×2160pxが推奨されています。対応可能なサイズと納品形式をご相談できますでしょうか。
動画編集用の人物素材を依頼する場合
YouTube動画内で使用する人物イラストです。背景や文字は動画制作者が後から編集するため、背景透過PNGを希望しています。動画制作者へ共有予定なので、必要なサイズ・形式も相談したいです。
印刷用の場合
同人誌の表紙として印刷する予定です。印刷会社のテンプレートと入稿仕様を共有します。対応可能な完成サイズ・解像度・カラーモード・納品形式をご確認いただけますでしょうか。
サイズや形式が分からなくても、用途を伝えれば相談できる
初めての依頼では、専門用語をすべて理解してから相談する必要はありません。
例えば、
配信画面とSNSで使用する予定です。必要な画像サイズや納品形式を判断できていないため、用途に合う仕様をご相談したいです。
のように伝えられます。
重要なのは、数字を適当に決めることではなく、
- どこで使うか
- どのように使うか
- 後から誰かが編集するか
- 印刷するか
- 複数用途で使う予定があるか
を共有することです。
「とりあえず最大サイズ・PSD」で頼まなくていい
大きなサイズのデータは、後から別用途へ使いやすい場合があります。
ただし、必要以上に大きなキャンバスや細かなレイヤー分けを依頼すると、制作時間・料金・ファイル容量などが増える可能性があります。
例えば、将来A4印刷する予定が具体的にあるなら、その予定を最初から伝える価値があります。
一方で、使い道がまったく決まっていない状態で「一番大きいサイズとPSDで」と指定する必要はありません。
現在予定している中で最も大きな用途と、将来使う可能性が具体的にある用途を伝えて相談しましょう。
納品されたら確認したい7項目
完成データを受け取ったら、依頼時に合意した仕様と一致しているか確認します。
| 確認項目 | 確認すること |
|---|---|
| 1. サイズ | 縦横のpxや印刷サイズが合っているか |
| 2. ファイル形式 | PNG・JPEG・PSDなど指定どおりか |
| 3. 背景透過 | 必要なデータで背景が透明になっているか |
| 4. 差分・点数 | 依頼した表情差分などがすべてあるか |
| 5. カラーモード | 印刷などで指定したRGB・CMYKになっているか |
| 6. ファイル | 正常に開け、使用予定のソフトで扱えるか |
| 7. 利用条件 | 加工・商用利用・クレジットなどの合意内容を再確認する |
背景透過データは、実際に使用予定の背景へ重ねて確認しておくと安心です。
イラスト依頼のサイズ・解像度・納品形式に関するよくある質問
Web用イラストにもdpiを指定する必要がありますか?
Web・SNS・動画では、まず使用先が求める縦横のピクセル数や縦横比を確認します。
将来的な印刷予定などがなければ、「Webだから○dpi」と固定的に指定するより、必要なpx・用途を伝える方が重要です。
解像度は高いほどいいですか?
必要な用途を満たしていることが重要です。
必要以上に大きな画像や高い設定にすると、制作負担やファイル容量が増えることがあります。
PNGとJPEGはどちらが高画質ですか?
単純な優劣ではなく、用途の違いで選びます。
背景透過が必要ならPNGが候補になります。背景込みの完成画像ではPNG・JPEGのどちらも使われるため、利用サービスや用途に合わせて判断します。
PSDをもらえば自由に編集できますか?
いいえ。PSD形式で納品されることと、自由に加工・編集できる権利が認められていることは別です。
加工可能な範囲や第三者への共有については、依頼時の利用条件を確認してください。
著作権・商用利用・加工については、「イラスト依頼の著作権は誰のもの?」で詳しく解説しています。
納品後にサイズが足りないことに気づいたら?
まず依頼した絵師へ相談しましょう。
元データのサイズによっては別サイズで再書き出しできる場合もありますが、追加制作が必要になる場合や、十分な画質で拡大できない場合もあります。
複数の用途で使いたい場合はどうすればいいですか?
依頼前に予定している用途をすべて伝えます。
例えば、「Xプロフィール画像だけでなく、配信画面や印刷にも使用したい」と伝えれば、その中で必要になる最大サイズや納品形式を相談しやすくなります。
印刷会社がまだ決まっていない場合は?
可能であれば、入稿前に印刷会社や商品を決めてから仕様を確認する方が確実です。
印刷会社によって塗り足し、カラーモード、入稿形式などが異なるためです。
まだ決められない場合は、予定している印刷物の種類と最大サイズを絵師へ伝えて相談しましょう。
まとめ|「用途→公式仕様→依頼内容」の順で決めよう
イラスト依頼のサイズ・解像度・納品形式は、専門用語から考える必要はありません。
まず、
- イラストをどこで使うか決める
- 使用先の公式仕様・入稿仕様を確認する
- 完成画像か編集素材かを決める
- 必要なサイズ・形式・透過・レイヤーを絵師へ相談する
という順番で整理しましょう。
Web・SNS・動画では、まずpxと縦横比を確認します。印刷する場合は、完成サイズ、必要な画像解像度、カラーモード、入稿形式まで確認します。
PNG・JPEG・PSDも、「どれが一番良いか」ではなく、背景透過や後工程での編集が必要かどうかで選びます。
そして、サイズや形式が分からない場合は、無理に数字を決める必要はありません。
使用先と使い方を正確に伝え、「対応可能な仕様を相談したい」と伝えることが大切です。
イラスト依頼全体の流れから確認したい方は、「イラスト依頼の方法|初めて絵師に頼む流れ・準備・注意点」も参考にしてください。


