イラストを依頼するとき、「サイズはどれくらいで頼めばいいの?」「解像度って何のこと?」「PNGとJPEG、PSDのどれをお願いすればいいの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、サイズ・解像度・納品形式は、使う場所の仕様から逆算して決めるのが基本です。使用先が決まっていない場合でも、想定している使い方を伝え、対応可能な仕様を絵師へ相談できます。
依頼時に伝える情報全体については、「イラスト依頼で伝えることは?必要項目と書き方を初心者向けに解説」もあわせて参考にしてください。
この記事では、画像サイズとピクセル、解像度とdpiの違い、Web用と印刷用の違い、RGBとCMYK、PNG・JPEG・PSDの違い、背景透過、用途別に確認したい仕様、納品前後のチェックポイントまで、技術的な条件に絞って解説します。
最初に確認|サイズ・解像度・納品形式は用途から決める
サイズや形式に「絶対の正解」はなく、使う場所ごとに確認すべきポイントが変わります。
- SNSやWeb:表示される場所のピクセル数を確認する
- 動画:画面の比率と編集で使うソフトを確認する
- 印刷:完成サイズ、解像度、カラーモード、入稿仕様を確認する
- 立ち絵:表示サイズ、背景透過の有無、必要な差分を確認する
- PSD:編集やレイヤー分けが本当に必要かを確認する
「数字が大きいほど安心」というわけではなく、用途に合った仕様を選ぶことが大切です。大きすぎるデータは、制作の手間や納品ファイルの容量が増える一因にもなります。
イラスト依頼で確認したい技術条件一覧
依頼前に、次の項目を確認しておくと安心です。
- 画像の縦横サイズ
- 縦横比
- 解像度
- カラーモード
- ファイル形式
- 背景透過の有無
- レイヤー分けの必要性
- 納品点数
- 差分の有無
- ファイル容量や送信方法
すべてを依頼者だけで決める必要はありません。使用先の仕様と、依頼先が対応できる範囲をそれぞれ確認しながら進めれば十分です。
画像サイズとは?ピクセル数の見方
画像サイズは「横〇px×縦〇px」のように、ピクセル(px)という単位で表されることが一般的です。ピクセルとは、画像を構成しているごく小さな点のことです。
同じ縦横比の画像でも、ピクセル数によってデータの重さや細部の見え方は変わります。小さいサイズの画像を後から無理に引き伸ばすと、輪郭がぼやけたり粗さが目立ったりすることがあります。
もともと小さく描かれたデータを拡大しても、描かれていない部分の情報が新しく生まれるわけではありません。
反対に、必要以上に大きなサイズで依頼すると、ファイル容量や制作側の作業負担が増える場合もあります。
縦横比も確認する
サイズと合わせて、縦横比も確認しておきましょう。
- 正方形
- 横長
- 縦長
SNSのアイコン、動画のサムネイル、印刷物では、それぞれ求められる縦横比が異なります。依頼前に、利用するサービスが案内している現在の推奨サイズや形式を確認しましょう。
歌ってみた動画用のイラストを依頼する場合は、動画本編やサムネイルでの使用を考えて、縦横比やサイズを決めることが大切です。背景透過や差分、動画制作者へ渡す素材など、歌ってみた特有の確認ポイントは「歌ってみたイラストを依頼する方法|料金相場・頼み方・絵師の選び方」で詳しく解説しています。
一枚絵を依頼する場合も、SNS投稿、配信、動画、印刷などの用途によって適した縦横比やサイズが変わります。構図や背景、料金を含めた一枚絵の依頼方法は「一枚絵を依頼する方法|料金相場・頼み方・絵師の選び方」で詳しく解説しています。
解像度とは?px・ppi・dpiの違い
デジタル画像の解像度は、厳密にはppi(1インチ当たりのピクセル数)で表します。一方、dpiは、プリンターが1インチ当たりに出力するドット数です。ただし、イラスト制作ソフトや印刷会社では、画像解像度を便宜上「dpi」と案内していることもあります。本記事では、依頼時に一般的に使われる表現に合わせてdpiとも表記します。
ここで大切なのは、縦横のピクセル数と解像度は別の情報だという点です。同じピクセル数の画像でも、大きく印刷すれば1インチ当たりのピクセル数は少なくなり、小さく印刷すれば密度は高くなります。
Web上での表示サイズは、基本的に画像の縦横のピクセル数によって決まります。一方、印刷では、縦横のピクセル数に加えて、実際の印刷サイズと解像度をあわせて考える必要があります。
そのため、依頼時に「350dpiでお願いします」と解像度だけを伝えても、必要な画像サイズを判断できないことがあります。印刷に使用する場合は、dpiとあわせて、完成サイズや縦横のピクセル数も伝えるとスムーズです。
Web用と印刷用の違い
Web用と印刷用では、確認すべき項目が異なります。
Web用で確認したいこと
- ピクセル数
- 縦横比
- RGB
- PNGまたはJPEGなどの形式
- 背景透過の有無
- 使用するサービスの仕様
印刷用で確認したいこと
- 完成する実際のサイズ
- 解像度
- RGBまたはCMYKのどちらで入稿するか
- 塗り足し
- 入稿形式
- 印刷会社が用意しているテンプレート
- 文字や重要な部分を置ける範囲
印刷会社によって仕様は異なります。依頼前に、入稿先の最新仕様を確認しましょう。
RGBとCMYKの違い
RGBは主に画面での表示に使われる色の表現方法で、CMYKは印刷で使われることがある色の表現方法です。
RGBで鮮やかに見える色が、CMYKに変換したときに完全に同じ見え方になるとは限りません。
また、印刷物であっても、印刷会社によってはRGBでの入稿を指定している場合もあります。「印刷は必ずCMYK」と一律に決めつけないことも大切です。
依頼前に印刷会社の指定を確認し、カラーモードの変換を誰が担当するのかも、あわせて依頼先と相談しておきましょう。
PNG・JPEG・PSDの違い
PNG、JPEG、PSDには、それぞれ次のような違いがあります。
優劣ではなく、用途による向き不向きとして考えましょう。
| 形式 | 主な特徴 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| PNG | 画質を保ちやすく、背景透過に対応できる | 立ち絵、アイコン、Web素材 | 透過の有無を別途確認する |
| JPEG | 写真や背景込みの画像などで使われる | Web画像、確認用の一枚絵など | 背景透過に対応しない |
| PSD | レイヤー情報を保持できる場合がある | 動画編集、差分管理、制作データ | 対応ソフトや追加料金を確認する |
PNGを依頼するときの確認ポイント
- 背景透過が必要かどうか
- 透過版と背景付き版の両方が必要かどうか
- 複数の差分があるかどうか
JPEGを依頼するときの確認ポイント
- 背景込みで問題ないかどうか
- 再保存を重ねると画質が変化する場合があること
- 確認用のデータなのか、最終納品データなのか
PSDを依頼するときの確認ポイント
- どの程度レイヤーが分かれているか
- 自分が使うソフトで開けるかどうか
- フォントや特殊効果が正しく表示されるかどうか
- 追加料金が発生するかどうか
- 編集できる範囲
- 利用条件
PSDや元データを依頼する場合は、レイヤー構成、対応ソフト、編集可能な範囲、追加料金を事前に確認しましょう。
背景透過とは?
背景透過とは、画像の背景部分を透明にした状態のことです。
立ち絵、アイコン素材、動画用の素材などで必要になることがあります。
白い背景の画像と、透過された背景の画像は別のものです。JPEGは仕組み上、背景を透過できません。
PNGは透過に対応できる形式ですが、PNGだからといって必ず背景が透明になっているとは限らないため、依頼時にも納品時にも確認が必要です。
また、髪の毛や半透明部分は、合成する背景色や使用するソフトによって、輪郭に白や暗い縁が見えることがあります。実際に使用する背景へ重ねて確認しましょう。
背景透過が向いている用途の例
- 立ち絵
- 配信用の素材
- 動画編集
- サムネイルへの合成
- Webデザイン
- グッズ制作の一部
グッズや印刷物に使う場合は、透過データがそのまま使えるとは限らないため、入稿仕様をあわせて確認してください。
用途別に確認したいサイズ・納品形式
用途ごとに、固定的なサイズを決めつけるのではなく、何を確認すればよいかを整理します。
SNSアイコン
正方形を基本に考えることが多いですが、円形表示で端が切れないよう余白を意識します。
使用するSNSの現在の推奨サイズ、PNGかJPEGか、背景透過が必要かを確認しましょう。
SNSアイコンの依頼方法全体は、「SNSアイコンのイラスト依頼」で詳しく解説しています。
YouTube・動画用イラスト
次の点を確認しましょう。
- 画面比率
- 編集ソフトで扱える形式
- 文字や人物を配置する余白
- 背景透過の有無
- 表情や衣装差分
- 動かす場合のレイヤー分け
「YouTubeは必ずこのサイズ」と決めつけず、依頼時点で案内されている仕様を確認してください。
立ち絵
立ち絵では、次の点を確認します。
- 全身が切れない縦長のサイズ
- 背景透過PNG
- 表示するツールやゲーム側の仕様
- 表情差分
- 必要に応じたPSDやレイヤー分け
VTuberの立ち絵に特化した依頼方法は、「VTuber立ち絵の依頼方法」で扱っています。
Webサイト・ブログ
次の点を確認しましょう。
- 表示される領域
- スマートフォンでの見え方
- ファイル容量
- PNGかJPEGか
- 文字を重ねる場合の余白
構図や参考画像の伝え方は、「イラスト依頼の資料の作り方|絵師に伝わる参考画像と設定のまとめ方」も参考になります。
印刷物・同人誌
次の点を確認します。
- 完成サイズ
- 塗り足し
- 解像度
- カラーモード
- 入稿形式
- 印刷会社のテンプレート
グッズ
次の点を確認しましょう。
- 商品の形状
- 印刷できる範囲
- 背景透過の有無
- カットライン
- カラーモード
- 制作会社の入稿仕様
「とりあえず大きいサイズ」で頼めばよい?
大きいサイズのデータには、将来別の用途に流用しやすいという利点がある場合もあります。
ただし、制作の作業量や時間、料金、ファイル容量が増える可能性もあります。
用途を決めないまま、とにかく最大サイズを求める必要はありません。予定している使用サイズのうち、もっとも大きいものを伝えるのが基本です。
複数の用途がある場合は、そのすべてを伝えて相談しましょう。
小さい画像を後から無理に拡大するよりも、最初に使い道を共有しておくほうがスムーズです。
PSDやレイヤー分けは必要?
すべての依頼にPSDやレイヤー分けが必要というわけではありません。
必要になる可能性があるケース
- 動画内でパーツを動かしたい
- 表情や衣装を切り替えたい
- 文字や背景を後から編集したい
- 制作チームで後から調整を加えたい
- 印刷物や広告で再編集する可能性がある
必要ない場合が多いケース
- 完成したSNSアイコンをそのまま使う
- 一枚絵を編集せずに掲載する
- 個人観賞用として使用する
PSDや元データは、通常の完成画像とは異なる制作データとして扱われることがあります。
レイヤー分けの内容は依頼先によって異なり、追加料金が発生する場合もあります。必要かどうかを確認したうえで依頼しましょう。
サイズや納品形式がわからない場合の伝え方
仕様がわからないときは、無理に自分で決めようとせず、使い道を伝えて相談しましょう。
動画用イラストの例文
YouTube動画のサムネイルとして使用する予定です。
文字を右側へ入れるため、人物は左側に配置したいと考えています。
適切な画像サイズと納品形式がわからないため、対応可能な仕様をご相談できますでしょうか。
印刷用イラストの例文
同人誌の表紙として印刷する予定です。
印刷会社のテンプレートと入稿仕様を共有しますので、対応可能なサイズ・解像度・カラーモードをご確認いただけますでしょうか。
使用目的、使用するサービスや印刷物、希望する使い方、わからない仕様を伝えると、絵師側も対応可否を判断しやすくなります。
納品前に確認したいこと
納品時には、依頼時に決めた仕様と一致しているか確認しましょう。
サイズと縦横比
依頼時に伝えた指定と、実際の納品データが一致しているか確認します。
ファイル形式
PNG、JPEG、PSDなど、事前に合意した形式で届いているか確認します。
背景透過
透過が必要なデータで、実際に背景が透明になっているか確認します。
カラーモード
Web用、印刷用として必要なカラーモードになっているか確認します。
差分と納品点数
依頼した差分がすべて含まれているか確認します。
ファイルが開けるか
データが破損していないか、実際に使うソフトで開けるか確認します。
利用条件
加工、トリミング、商用利用、クレジット表記などの条件を再確認します。
これらは作品内容への修正依頼ではなく、納品データの仕様確認として丁寧に確認しましょう。
イラスト依頼の技術条件チェックリスト
- 使用目的を決めた
- 使用先の最新仕様を確認した
- 縦横サイズを確認した
- 縦横比を確認した
- 印刷する場合は完成サイズを確認した
- 解像度を確認した
- RGBまたはCMYKを確認した
- PNG、JPEG、PSDのどれが必要か確認した
- 背景透過の有無を確認した
- 差分の数を確認した
- レイヤー分けの必要性を確認した
- PSDが必要か確認した
- 印刷会社の入稿仕様を確認した
- 見積もりに追加料金が含まれているか確認した
- 納品後にファイルを開いて確認した
- 利用条件を文章で残した
イラスト依頼のサイズ・解像度・納品形式に関するよくある質問
Web用イラストにもdpiの指定は必要ですか?
Web表示では、基本的にピクセル数が重要になります。
ただし、制作環境や将来的に印刷する予定がある場合は、解像度についても依頼先へ確認しておくと安心です。
解像度は高いほどよいですか?
用途に必要な範囲を満たしていることが大切です。
必要以上に高い設定にすると、作業負担やファイル容量の増加につながる場合があります。
PNGとJPEGはどちらが高品質ですか?
単純な優劣ではなく、透過に対応するかどうか、圧縮の仕組み、用途の違いとして考えましょう。
背景透過が必要ならPNG、背景込みの一般的な画像として使うならJPEGが選ばれることがあります。
PSDをもらえば自由に編集できますか?
PSDでの納品と、編集権や著作権の扱いは別です。
自由に編集・利用できるかどうかは、依頼先が定める利用条件によって異なります。事前に確認しておきましょう。
納品後にサイズが足りないと気づいた場合はどうすればよいですか?
まずは依頼先に相談し、再書き出しや拡大対応が可能か確認しましょう。
元データのサイズによっては対応が難しい場合や、追加料金が発生する場合もあります。
将来印刷する可能性がある場合はどう伝えればよいですか?
現時点で確定していなくても、将来的に想定している最大の印刷サイズや使い方を伝え、必要な仕様を相談しておきましょう。
まとめ|使用先の仕様からサイズと納品形式を決めよう
- サイズ、解像度、納品形式は使用目的から決める
- Webはピクセル数と縦横比を確認する
- 印刷は実寸、解像度、カラーモード、入稿仕様を確認する
- PNG、JPEG、PSDは用途によって使い分ける
- 背景透過やレイヤー分けの必要性を確認する
- サイズは大きければよいとは限らない
- わからない場合は、用途を伝えて相談する
- 納品後はサイズ、形式、透過、差分を確認する
数値や専門用語をすべて自分で判断する必要はありません。
まず使用先の仕様を確認し、わからない部分は用途や将来の使い方を伝えたうえで相談しましょう。依頼前に条件を整理しておくことで、納品後にサイズや形式が合わないと気づく事態を防ぎやすくなります。
依頼の流れ全体を確認したい方は、「イラスト依頼の方法」もあわせてご覧ください。
用途に合う形式でイラストを依頼したい方へ
絵師ナビでは、初めてイラストを依頼する方に向けて、依頼内容の伝え方、料金、納品、権利などの情報を発信しています。
使用するサービスや印刷会社の仕様を確認し、画像サイズ、解像度、納品形式を整理したうえで、依頼先へ相談してみてください。


